社会人になって英語の学び直しをしたいと考えている方は多いのではないでしょうか。
英語の学び直しには目標があるとモチベーションを維持し易く、その中でも英検取得を目標に据えるのは、取り組み易いだけでなく英語力を総合的に向上させることができるため学び直しには持って来いです。
本記事では、リスキリング・学び直しをしようと考えている方、既に学習を始めてるという方に向けて、英検取得のメリット、TOEICではなくなぜ英検が良いのか?
何級から取得するのがベストか、英検のおすすめ勉強法、合格に必要な勉強時間について解説します。
なお、英検は学生というイメージがあり、今更受験するのは恥ずかしいと思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
英検の対象は、英語の習得を志す方全員です。
どうしても恥ずかしさが拭えない方に向けて恥ずかしさを軽減する方法もご紹介します。
ちなみに、著者も社会人になってから学び直しを始めて30代で英検2級を取得し、英語学習を継続し今に至っています。
【この記事を読んでわかること】
- 社会人が英検を取得するのは恥ずかしい?受験者の年齢層は?
- 社会人が英検を取得するメリット
- 英検とTOEICどっち?
- 社会人の英検は何級からがよい?
- 英検を取得するために必要な勉強時間は?
- 社会人になってからの英検の勉強方法
- 大人でも英語習得は可能?
■社会人が英検を受験するのは恥ずかしい?受験者の年齢層は?
英検=学生、TOEIC=社会人、というイメージがあり、社会人になって英検を受けることが少し恥ずかしい、と思う方もいるのではないでしょうか。
実際、英検の受験者は、8割以上が学生で、それ以外の方は2割以下しかいません。
従って社会人の受験者は人数的には少数派であり受験会場は大半を学生が占めることになります。
そう考えると、少し恥ずかしい、というのは分からないでもありませんね。
ちなみに著者は英検2級を会場で受験しましたが、20~40代の方やご年配の方までちらほら受験されていたものの、やはり大半は学生の方々でした。
実際には、恥ずかしくない。
英検は小学生から社会人まで幅広い方を対象とした英語検定試験であると公式サイトに明記されています。
むしろ、英検はTOEICと並び、厚生労働省が推し進める教育訓練給付制度の対象資格にもなっており、リスキリングにおいて国からも推奨されています。
その甲斐あってか、一時的にコロナ過で減少したものの社会人の受験者数はここ数年増加傾向にあります。今後も増えてくるでしょう。
また、受験する級にもよりますが、学生の方は学校や塾等で集団で受験するケースも多いので会場の学生比率は受験者数の比率程高くないでしょう。
人数的に一定数いるので、実際には恥ずかしいなどという気にはなりません。
しかも、皆さん集中して最後の追い上げをしているので周りを気にするどころではありません。
著者もそうでした。「あ、学生が多い」と思ったのも束の間、試験の準備に集中です。
なお、それでも気になるようでしたら、受験の仕方としてS-CBTという受験方式があり、1人1台のコンピューターを使って受験するという方法を選択することもできます。
その場合は皆さんパソコンに向かっているので周りを気にすることも少なくなるでしょう。
またS-CBT方式は1次試験と2次試験の両方を1日で済ませることができるので忙しい社会人の方には最適です。
■社会人が英検を取得するメリット
学び直し・リスキリングで常に注目され続けている分野は語学分野、とりわけ英語です。
社会人が英語学習をする上で、英検取得のメリットは大きく6つあります。
【メリット1】4技能を総合的に習得できる
英検は4技能(リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング)のバランスが重視された試験であり、日常生活からアカデミック、ビジネスまで社会で求められる英語力を測ることを目的とした資格です。
従って、学習の過程をとおして必然的に4技能をバランスよく学習することにになります。
【メリット2】ステップアップとモチベーションの維持
英検は、学習レベルに応じて7つの級を設定されています。
ご自身の英語レベルに合わせてどの級からでもスタートすることができ、目標が定めやすく一つ一つ階段を上るようにステップアップしていくことが可能です。
段階的にステップアップできるのはモチベーションの維持に繋がります。
【メリット3】一生涯有効な資格
英検は一生涯有効な資格です。
取得後に年数が経過しても受験し直す必要がありません。
なお、TOEICは2024年度から公式に有効期限が設けられ、その期間は2年間となっています。
IELTS・GTEC・TEAP・TOEFLも有効期限は2年間です。
一度取得すれば、常に「履歴書に書ける」というのは心強いです。
資格 | 有効期限 |
---|---|
英検 | 無し |
TOEIC | 試験日から2年間 ※2024年4月より適用 |
TOIFL | 試験日から2年間 |
ケンブリッジ英検 | 無し |
IELTS(アイエルツ) | 試験日から2年間 |
GTEC(ベネッセ英語検定) | 試験日から2年間 |
TEAP(ティープ) | 2年度(試験日から翌年度末まで) |
ただ、有効期限がないからといって学習を止めてしまうのはもったいないです。
大事なのは英検合格のその先、「実用段階」ですので、英語学習を継続し次の級へと徐々にステップアップしていきたいものです。
【メリット4】詳細な成績表で弱点攻略にも最適
成績表には合否に加えて技能別にスコアが表示されているため、得意分野・苦手分野がわかります。
また、今後につながるアドバイスも記載してあるため、今後の学習の参考になります。
【メリット5】年収アップ
英語力が高い人ほど年収も高いという傾向があります。
ヒューマングローバルタレントの「英語力が年収に与える影響」に関する調査結果によると、年齢が上がるにつれて英語力が年収に与える影響が顕著になり、ビジネス会話レベル以上の英語力を持つ50代では、国税庁調査の平均給与と比較すると男性で1.3倍、女性では1.6倍高くなるという結果が発表されました。
英検により英語力を証明することによって年収アップにつながる可能性があるでしょう。
(出展:ヒューマングローバルタレントの「英語力が年収に与える影響」に関する調査結果)
また、英検取得により、報奨金、一時金が出る企業も多いです。
実質的に年収アップに繋がる可能性もあります。
【メリット6】就職・転職に有利
英検を取得することにより就職や転職に有利に働きます。
「スタディチェーン」編集部調査によると、人事担当のうち60%以上の方が英検を取っている就活生に好印象を持ち、かつ有利に働くと回答しました。
(出展:人事担当を対象にしたアンケート調査(スタディチェーン))
2級以上で英語力アピール・準2級は一定の評価
2級の英語力は「ビジネスシーンでも採用試験の履歴書などで英語力をアピールできます」と英検公式サイトに明記されているとおり、2級以上から履歴書に書いて英語力をアピールできるでしょう。
また、準2級にも「履歴書で評価される」と一部記載があり一定の評価を得られる可能性はあります。
但し、準2級の目安は高校中級程度の英語力ですので、履歴書の提出先の業界や狙っている職種を考慮して履歴書に書くか書かないかは一考した方が良いでしょう。
準1級以上は、より英語スキルが高いとみなされ選考に有利・幅が広がる
準1級以上は、英語を使う必要のある職場に就職や転職をするときに有利になります。
外資系企業や教育関係など英語力が必須とされる求人では、英検準1級相当以上が要件となっているものも多くあります。英検2級以下では応募することができなかった求人にもエントリーできるようになるため、転職の幅が広がります。
また、当然、応募要件が英検2級以上となっている求人でも準1級を持っていれば、より英語力が高いとみなされ選考に有利になるででしょう。
準1級は、「実際に使える英語力」の証明として高く評価されています。
■社会人は英検とTOEICどっちを受けるのがよい?
冒頭でも述べましたとおり、「社会人=TOEIC」というイメージがありますが、社会人は英検とTOEICどちらを受けるのがよいのでしょうか?
結論としては、英語学習初級者は圧倒的に英検2級の取得を優先すべきです。
英検2級取得後は、英検とTOEICを併用しながら英語学習を継続していく、というやり方がおすすめです。
著者はこのやり方で英語学習を継続しています。順に解説します。
【STEP1】(入門~初級者編)目標:英検2級
まずは、4技能全てをバランスよく向上させるため英検2級を目指します。
難しいようであれば準2級からスタートするのも良いでしょう。
いずれにせよ英検2級を合格できるレベルに英語の総合力が向上するまでは、TOEICの受験は控えた方がよいかもしれません。
というのも、TOEICは入門者~上級者まで統一的なテストなので、リスニングでは英語速度が非常に速く、入門~初級者のレベルでは半分以上理解することができないでしょう。
その点、英検は級によってスピードが調整されていて、級にあったレベル、語彙量で学習することが可能です。
また、リーディングにおいても、TOEICは問題数が非常に多く時間が足りず、難解な問題も出題されるため、このレベルの英語学習者にとっては有意義な結果を残すことができないでしょう。
英語学習入門者~初級者の方は、英検2級(TOEIC 570点)レベルをしっかりとクリアすることが肝要になります。
【STEP2】(初中級者編)目標:TOEIC 730点
英検2級を取得した後は、続いてTOEICの学習を開始することをお勧めします。
なぜならば、英検2級から英検準1級には英語力に大きな差があり結果を出し難く、上達を感じにくいからです。
その点TOEICであれば、徐々にスコアが伸びていくのでモチベーションを維持し易いです。徐々にスコアを伸ばしていき、TOEIC730点(レベルB)を目指します。
この段階でTOEICレベルの英語スピード(日常会話レベル)に慣れます。
また、TOEICテストのリスニングでは、主な英語圏5カ国(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)の発音が登場します。
これらの発音にも慣れていき、実用的な英語力を習得します。
英検の場合、英検2級のリスニングまではアメリカ英語が中心ですが、英検準1級以降はイギリス英語も出題されます。この段階でイギリス英語になれていくとよいでしょう。
【STEP3】(中級者編)目標:英検準1級
TOEIC 730点を超えたら次は英検準1級を目指します。
【STEP4】(中上級者編)目標:TOEIC 860点
英検準1級(TOEIC 790点相当)を取得したら、TOEIC860点(レベルA)を目指します。
- STEP1【入門~初級者編】目標:英検2級
4技能全てをバランスよく向上
- STEP2【初中級者編】目標:TOEIC 730点
・TOEICレベルの英語スピード(日常会話レベル)に慣れる
・実用的な英語力を習得 - STEP3【中級者編】目標:英検準1級
- STEP4【中上級者編】目標:TOEIC 860点
このように、英検とTOEICをスパイラル的に学習していくことにより、総合的かつ実用的な英語力を習得することができます。
なお、このように学習していけばTOEICの有効期限(2年)もある程度維持することが可能となります。
また、英検、TOEICそれぞれに会社から報奨金が出るケースがありますが、取りこぼすこともありません。
英検とTOEICスコアの換算については、以下の記事をご参考下さい。
■社会人の英検は何級からがよい?
社会人の場合、履歴書に書けるのは前述のとおり英検準2級からになります。
但し、しっかりとアピールできるのは2級からになるので、最初の目標としては英検2級がよいでしょう。
難しいと感じる方、不安感が強い場合には準2級からスタートしステップアップしていくのが良いでしょう。
レベル感は以下のとおりとなります。
習得目標 | 級 | 目安 |
---|---|---|
使える英語で世界へ ・⼤学⼊試レベル ・2級から海外留学 ・履歴書で評価される | 準2級 | 高校中級程度 |
2級 | 高校卒業程度 | |
リーダー(品格)の英語 | 準1級 | 大学中級程度 |
1級 | 大学上級程度 |
■英検を取得するために必要な勉強時間は?
それでは一般的な教育課程を経た社会人の方が、英語学習を始めてから目標とする英検級を取得するまでにはどのくらいの勉強時間が必要なのでしょうか。
ずばり、以下のとおりになります。
英検級 (取得目標) | 取得に必要な勉強時間 | 学習期間 (1日1時間の勉強として) |
---|---|---|
2級 | 195~380時間 | 約 半年~1年 |
準1級 | 750~1120時間 | 約 2年~3年 |
1級 | 1490~1860時間 | 約 4年~5年 |
・CEFR学習時間目安:ケンブリッジ大学英語検定機関「Guided learning hours」
・日本語母語話者であることを考慮した学習時間目安:徳島大学「日本人の英語学習時間について」
※CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)
これは、一般的な日本の教育課程(一般的なレベルの日本の大学卒業まで)を経た方を対象とした研究結果のため、ご自身の学歴、留学経験等を考慮しつつ加減してご参考下さい。
著者は仕事で少し英語を使っていたこともあり、3か月で42時間の勉強時間で英検2級を取得することができました。上記の表と比較すると150時間以上も短縮しているため、やはり緊迫感のある仕事上での経験値がモノを言っていると考えてよいでしょう。
■社会人になってからの英検の勉強方法
英検は基本的に独学で合格可能です。
英検準2級、2級レベルであればは単語帳と問題集一冊ずつを併用したオーソドックスな勉強法で合格可能です。
以下の問題集は網羅的で効率が良くおすすめです。著者も使っていました。
また、著者は今後を見据えてTOEIC用の単語帳を使っていましたが、「ショートストーリーで覚える! 新TOEICテスト 出る語句1800(コスモピア)」は一押しです。
ストーリーが、とある女性社員のサクセスストーリー(フィクション)なのですが、非常に面白くて単語の勉強をしているとは全く感じません。Listening力も高められ一石三鳥です。
社会人の方は勉強時間が多くは取れないので、スクール(塾)やオンライン学習(通信講座)を活用して勉強効率を上げることが有効です。
以下、「英検対策コース」があり、「無料体験」が可能なオンラインスクールをご紹介します。
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■大人でも英語習得は可能?
英語学習において「年齢が高いほど学習が難しい」という説は広く信じられていますが、「第二言語」という側面においては、大人でも英語の習得は十分に可能であるとされています。
Older is faster, younger is better
(早く習得するなら大人、高い言語能力を習得するなら子供)
という研究成果があります。
ある程度の英語レベルまでは到達するのは大人の方が早い、というものです。
その後は、ゆるやかに上達するため継続が大事になり、継続するためにはモチベーションが大切です。
著者は仕事でシンガポールに何度か行った経験がありますが、相手の英語が理解できない、、、自分の英語が全く通じない、、、初めての海外経験で大きな衝撃を受けました。
この挫折が今も英語学習を継続していけるモチベーションであることは間違いありません。
英語はあくまでもコミュニケーションという目的を達成するための道具(第二言語)です。
英検合格という目標もひとつのモチベーションとして英語学習を継続していきたいものです。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。
英検合格のための勉強法のイメージが少しでも湧いたなら幸いです。
以下、ポイントをまとめておきます。
- 社会人が英検を取得するのは恥ずかしい?
・社会人の受験者も少数ながら一定数は存在し、増加傾向。
・みんな受験に集中して黙々と自習していて、周りを気にする余裕はない。
・S-CBT方式の受験なら、周りが気にならない。
⇒社会人が英検を取得するのは恥ずかしくないので安心して受験しましょう! - 社会人が英検を取得するメリット
・4技能をバランスよく総合的に習得できる
・ステップアップとモチベーションの維持
・英検は一生涯有効な資格
・詳細な成績表で弱点攻略にも最適
・年収アップ⇒英語力が高い人ほど年収も高いという傾向
・就職、転職に有利 - 英検とTOEICどっち
・英語学習初級者は圧倒的に英検2級の取得を優先
・英検2級取得後は、英検・TOEICスパイラル学習がおすすめ - 社会人の英検は何級からがよい?
・最初の目標としては英検2級おすすめ
・難しい場合には、準2級からスタートしステップアップ - 英検を取得するために必要な勉強時間は?
・英検2級:195~380時間 約半年~1年
・英検準1級:750~1120時間 約2年~3年
・英検1級:1490~1860時間 約4年~5年 - 社会人になってからの英検の勉強方法
・英検は基本的に独学で合格可能
・スクールやオンライン学習を活用して勉強効率UP!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
英語学習に終わりはありませんが、努力を継続することで確実に成長していくのも事実です。本記事が少しでも皆さまのお役に立てたなら幸いです。