社会人の英検は、『履歴書に書いて英語力をアピールすることができる”2級”』を目標とされている方が多いかと思いますが、学生時代、英語が少し苦手だった方や問題集をチラ見して「いや、ちょっと難しそうだな、、」と感じた方も少なくないのではないでしょうか。
なんせ仕事で英語を使わない方は英文を見るのも久しぶりで、単語、熟語、イディオムなどはとうの昔に忘れています。
2級レベルの英文量が目に入って、若干パニックに陥ったという方もいるのではないかと思います。
そんな方には、まず、学生時代の英語の復習やリハビリを兼ねて、英検準2級レベルの勉強でウォーミングアップするのがおすすめです。
英検準2級の英語は高校中級レベルの英語で、難しすぎず、簡単すぎず、社会人の英語学習のウォーミングアップにはちょどよいレベルです。
この記事では、英検準2級の試験範囲、合格基準、合格率、難易度について解説し、合格レベルまでのおすすめの勉強方法をご紹介します。
また、社会人の方の受験は英検S-CBT方式が圧倒的におすすめです。S-CBTのメリット、受験の際の注意ポイントについても解説します。
英検2級の勉強方法や合格に必要な勉強時間については以下の記事で解説しています。
■社会人の英検準2級は、英語のリハビリ・学生時代の復習に使う
英検準2級は4技能(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)全てをバランスよく使う試験で、基礎的な英語力を養うのに持って来いの試験です。
文法、語彙含めて一旦網羅的に学習することで学生時代に学習した項目を総復習することができます。
また、準2級の英語は、簡単すぎず、かといって難しすぎず、社会人の英語のウォーミングアップにはちょどよいレベルです。
というのも、英語を学習した経験が全くない人(義務教育で英語の授業がある日本においては考えにくいですが)が、英検準2級に合格するために必要な勉強時間は、666~740時間であり、その一方で、一般的な日本の教育課程(一般的なレベルの日本の大学卒業まで)を経た方は、小学校から大学までとおして、既に約1000時間以上の英語学習を行っている、という研究結果(徳島大学国際センター)があります。
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つまり、英語の学習時間だけでみれば、一般的な日本の教育課程を経てきた方は、英検準2級に合格するための勉強時間を既に大きく上回っていることになります。
しかも、大人になってからの学習ではありません。成長期における学習です。
従って、全く勉強しなくても準2級に合格するだけの素養が既に備わっているということになります。
しかし、仕事で英語を使わない方は、英語学習から離れて長いブランクがあります。
ですので、そのブランクを埋めるための「復習」としての英語学習が一定時間必要になり、一通り復習したならば、準2級レベルであれば合格することができてしまうということになります。
■英検準2級の英語レベル
それでは、準2級の英語レベルはどの程度のものなのでしょう。
準2級の英語レベルは、『日常生活の話題に関する内容を理解することができるレベル』と言われています。
英語の基礎力を身につけ、基本的な応用力として次の段階へつながる重要な級で、レベルは高校中級程度とされています。日常生活に必要な英語を理解し使用できることが求められます。
英検準2級の英語レベル
『日常生活に必要な英語を理解し、使用できる』
このように聞くと、意外と高そうな英語レベルに感じる方もいるかと思いますが、以下に示すようにもう少し詳細に見てみると、想像するよりも英語レベルは高くないことがわかります。
あくまでも『日常英語の概要レベルの把握・コミュニケーション』レベルに留まりますのでご安心下さい。
【英検準2級に合格するのに求められる、各技能において英語で何ができなければならないか】
全体 | 日常的な話題について、概要を捉えたり、情報や自身の考えを基本的な語句を用いながら伝えることができる。 |
読む | 日常的な話題について、基本的な語句を用いた文章であればその概要を読んで捉えることができる。 |
聞く | 日常的な話題について、ゆっくりかつはっきりと話されればその概要を聞いて捉えることができる。 |
話す | 日常的な話題について、情報や気持ちなどを基本的な語句を用いながら話して伝えることができる。 |
書く | 日常的な話題について、情報や気持ちなどを基本的な語句を用いながら文章を書いて伝えることができる。 |
■英検準2級の試験範囲
英検準2級の試験範囲は、高校中級レベルの範囲で日常生活の話題に関する内容となります。
また、語彙数の目安については公式サイトでは発表されていませんが、英検対策で著名な旺文社のサイトに記載されている数字をまとめました。
級 | レベル | 内容レベル | 語彙数 |
---|---|---|---|
3級 | 中学卒業程度 | 身近なことに関する内容を理解 | 約2,100語 |
準2級 | 高校中級程度 | 日常生活の話題に関する内容を理解 | 約3,600語 |
準2級プラス | ※1 | 身近な社会的な話題に関する内容を理解 | ※1 |
2級 | 高校卒業程度 | 社会性のある内容を理解 | 約5,100語 |
語彙数出展:旺文社 英語の友
※1:準2級プラスは2025年度より新設される級。今後第更新予定
英検準2級で出題される『場面・状況・話題』
- 場面・状況
家庭、学校、職場、地域(各種店舗・公共施設を含む)、電話、アナウンスなど
⇒3級にはなかった『職場』が追加されています。 - 話題
学校、趣味、旅行、買い物、スポーツ、映画、音楽、食事、天気、 道案内、海外の文化、人物紹介、歴史、教育、科学、自然・環境など
⇒3級にはなかった『教育、科学、自然・環境』が追加されています。
■英検準2級の合格率
英検公式サイトでは、2015年、2016年(第一回開催)の1級~2級の合格率のみ公開されています。
一次試験 合格率
一次試験 実施回 | 1級 | 準1級 | 2級 |
---|---|---|---|
2015年 第1回 | 23% | 15% | 27% |
2016年 第1回 | 44% | 18% | 34% |
(2016年度および2015年度 第1回⼀次試験(RLW技能)⾼校⽣の合格率)
二次試験 合格率
二次試験 実施回 | 1級 | 準1級 | 2級 |
---|---|---|---|
2015年 第1回 | 66% | 89% | 84% |
2016年 第1回 | 66% | 90% | 80% |
(2016年度および2015年度 第1回 ⼆次試験(S技能)全体での合格率)
準2級については公開されていないため不明ですが、英検の合格基準は大きく変わっていないということと、準2級は2級よりは少し易しいと考えるのが自然として、準2級の合格率は概ね、一次試験:35%程度以上、二次試験:85%程度以上、と類推できます。
一次試験、二次試験を合わせると合格率は30%程度となるため、3~4人に1人しか合格できないなかなか難易度の高い検定だということがわかります。
侮らず、しっかり準備(復習)をするのが肝要と言えます。
■英検準2級の合格基準
英検準2級(3級以上)は、一次試験と二次試験に分かれ、一次試験はリーディング・リスニング・ライティングの3技能の筆記試験を行い、二次試験はスピーキングの試験を行います。
各スキル(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)におけるスコア配分は均等で、準2級の場合、それぞれ600点、満点は2400点になります。
また、合格基準スコアは、1728点(2400点満点)と固定となっています。
一次試験 | 二次試験 | 合計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
合格基準 | 満点 | 合格基準 | 満点 | 合格基準 | 満点 | |
3級 | 1103 | 1650 | 353 | 550 | 1456 | 2200 |
準2級 | 1322 | 1800 | 406 | 600 | 1728 | 2400 |
2級 | 1520 | 1950 | 460 | 650 | 1980 | 2600 |
準1級 | 1792 | 2250 | 512 | 750 | 2304 | 3000 |
各スキルにおけるスコア配分が均等ということは、どれかひとつのスキルレベルが極端に低い場合、他のスキルの正当数が多くても、合計スコアは伸び悩むことになります。
従って、合格するためにには各スキル(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)をバランスよく学習することが重要になります。
これが、英検に向けた学習が英語の総合力を向上させると考える所以です。
『2級以下は、各技能6割程度の正答率の受験者の多くが合格している』
と英検公式サイトに明記されているので、正答率の合格目安としては、『60%』をひとつの基準としてよいでしょう。
■英検準2級の難易度
準2級の英語レベルは高校中級程度なので、社会人の方にとっては試験の難易度としては高くないと言えます。
前述のとおり、一般的な教育課程を経てきた社会人の方は、英検準2級に合格するための勉強時間を既に大きく上回った教育を受けていることを考えても、誰でも合格を狙える試験であることが言えるかと思います。
ただし、合格率から見るとある程度しっかりと準備(復習)することが必要になりますので、侮らず、準備することが肝要です。
4技能の配点が等分なので、全てをバランスよく学習し、極端に苦手な技能を作らないことがポイントになります。
■復習・リハビリが終われば、準2級の受験をスキップするという手も
学生時代の英語の復習・リハビリが一通り終われば、英検準2級の受験をスキップするという手もあります。
社会人の英検は、『履歴書に書いて英語力をアピールすることができる”2級”』が当面の目標になるかと思いますので、準2級レベルの英語力を手に入れたならば、準2級の受験をスキップして早々に2級の対策へと移っていくのが最短になり、費用の面でも節約できます。
もちろん試験を受けて合格してひとつひとつステップアップしていくのが理想ですので、可能であれば受験した方がよいでしょう。
ただ、社会人の方はなんせ時間がありませんので、その先の2級を見据えている方は準2級の受験はスキップして、一足飛びで2級に向かうことは効率的という見方ができます。
■受験するとスコアでわかる合格までの距離
時間・費用面が許せば、英検を受験することで得られるものは大きいです。
英検は合否だけではなく、級を跨いだ統一的なスコアが算出されます。
スコアは、準2級に合格出来なかった方が合格基準までどのくらいのスコアの開きがあったか、を示すのはもちろんのこと、合格することが出来た方が次の2級合格までにどの程度のスコアの開き(距離)があるのかがわかります。
以下、中3(受験生)の息子の準2級成績表ですが、準2級を受験し『合格』、2級合格基準まで『あと1点』ということになり、2級合格まであと一歩ということが分かります。
また、成績表はスキル毎に点数とCEFRレベルが示されるため、得意・不得意が一目で確認でき、目標の級の合格のために特にどのスキルを強化すればよいかわかります。
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また、スキル毎に学習アドバイスも記載してあるので、今後の学習の参考になります。
従って、受験して成績表を得ることでご自身の現在地と今後の課題を知ることができます。
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■新しいカテゴリ『準2級プラス』
2025年度より、英検準2級と英検2級との間に『英検 準2級プラス』というカテゴリ(級)が新設されます。
2級までのステップがより細かくなるので、目標として設定することで英語力のステップアップをより実感することが可能でしょう。
ただし、準2級と同様に社会人の方はこちらもスキップしてもよいでしょう。
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(出展:英検公式サイト)
■社会人はS-CBT方式の受験がおすすめ
英検の受験方式は、従来の紙(問題用紙+解答用紙)と面接によって行われる従来型の試験方式と、パソコンを使って受験するS-CBT方式の二通りが選べます。
S-CBTはパソコンを使って受験する試験方式で、パソコンの画面を見てマイクで話したり、マウスを操作したりしながら解答していきます。
なお、ライティングについては、解答用紙への手書きかキーボードを使ったタイピングのどちらかを申し込み時に選択することができます。
従来型とS-CBT方式のどちらで受験するか、ですが、社会人の方は圧倒的にS-CBT方式がおすすめです。
【メリット1】1日で4技能を受験できる
英検(従来型)では一次試験合格者のみが別日に二次試験(面接・スピーキングテスト)を受験しますが、英検S-CBTではスピーキングを含めた4技能を1日で受けることができます。
【メリット2】受験日が選択可能
英検には年3回の検定回がありますが、英検(従来型)は決まった日に受験するのに対して、英検S-CBTではそれぞれの検定回の中に複数の受験日があり、希望の受験日を選ぶことができます。
【メリット3】受験会場を自身で選べる
英検(従来型)では希望受験地(県・エリア)の指定することはできますが、試験会場を指定することはできません。また、会場の事情により、やむを得ず他の受験地へとご案内される場合もあります。
S-CBT方式では、希望する試験会場を指定することができ変わることはありません。
■S-CBT方式の受験で注意するポイント
S-CBT方式で受験するにあたり、とりわけ注意しておいた方がよいポイントがあります。
スピーキングの注意点
(1)他の受験者のスピーキングの声が若干聞こえてしまう
S-CBT方式では、パソコンに向かって受験しているとはいえ会場では複数人受験しています。
会場によっては数十人受験しています。
試験開始・終了時間は、『開始ボタン』を押すタイミングにより数分のずれはあるものの概ね同じタイミングで試験を開始します。
つまり、スピーキングの試験においては、他の受験者も一斉にしゃべり始めることになります。
ヘッドセットをしているとはいえ漏れ聞こえてしまいますので、急に周りがしゃべり出してもびっくりしないように心に留めておきましょう。
(2)しゃべり出しのタイミングに気を付ける
スピーキングにおいては、上述のとおり周りも一斉にしゃべり始めます。
しゃべり出しの開始は、画面に表示されている赤いランプが点灯してから開始することになっています。
周りがしゃべり始めたからと言って焦らずに、赤いランプが点灯するのをしっかりと確認してから話し始めましょう。
英検公式サイトに英検S-CBTの体験版試験がありますので、受験前に必ず体験しておきましょう。
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(3)スピーキングの終了タイミングに気を付ける
制限時間の中で話す必要があります。
従来型の面接では解答する際に少し時間を過ぎてしまっても、言い終えるまで試験官に待ってもらえる可能性がありますが、S-CBT方式では、制限時間がきたら解答を切られてしまいます。
制限時間内に言い終えられるように、練習しておいた方がよいでしょう。
ライティングの注意点
ライティングは、解答用紙への手書きかキーボードを使ったタイピングのどちらかを申し込み時に選択することができます。
タイピング型で受験する場合、キーボードを使って英文を書くことになります。
普段使っているMS OfficeのWordやExcelではスペルミスを自動変換してくれますが、試験ではそういった機能はありませんのでスペルミスには気を付けましょう。
なお、タイピングが苦手な方は筆記型で申し込みをするようにしましょう。
■英検準2級の勉強法
英検準2級は、基本的に独学で合格可能です。
(1)オーソドックスな学習方法
学生時代の英語の復習・リカバリを目的とした場合には、単語帳と問題集一冊ずつを併用したオーソドックスな勉強法が適しているかと思います。
以下の問題集は網羅的で効率が良く復習にはおすすめです。
2024年度から英検の問題形式がリニューアルしていますので、問題集もリニューアル対応版を選びましょう。
(2)過去問による学習
試験に臨むにあたり、少なくとも1回は時間を計測しながら実際の試験に則した形式でひととおり学習しておきたいものです。そんなときに役に立つのが過去問や模擬試験です。
英検公式サイトで、過去問がを数回分入手することができます。
解答はありますが、解説はついていないので実力試しとして使うのがよいでしょう。
解説付きが必要な場合は以下がおすすめです。
(3)アプリを使ってスキマ時間に学習
スキマ時間にアプリを使った学習は非常に有効です。
英語は言ってしまえば単なる言語であり、英語に触れるボリュームと習慣が大事です。
まとまった勉強時間が取れない日でも、5分、10分でも英語に触れることで習慣が維持されます。
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英語学習の新定番!スタディサプリ ENGLISH まずは無料体験!
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1回5分のトレーニングで英会話の瞬発力を鍛える
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(4)二次試験対策
二次試験対策には、オーソドックスな問題集の他、必ず実施しておきたいのが英検公式サイトで提供している『バーチャル二次試験 / バーチャルスピーキングテスト』です。
本番さながらの流れが体験できます。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。
英検準2級合格のための勉強法、すなわち学生時代の英語の総復習のイメージが少しでも湧いたなら幸いです。
以下、ポイントをまとめておきます。
- 社会人の英検準2級は、英語のリハビリ・学生時代の復習に使える!
復習が完了したら準2級の受験をスキップするという手も。 - 英検準2級の英語レベルは、高校中級レベル。
- 英検準2級の合格率は概ね30%程度以上と推測。
- 英検準2級は、誰でも合格を狙える試験!
合格率は30%と高くないので侮らずしっかり準備することが肝要! - 社会人はS-CBT方式の受験がおすすめ!
【メリット1】1日で4技能を受験できる
【メリット2】受験日が選択可能
【メリット3】受験会場を自身で選べる - S-CBT方式で注意するポイント
(1)他の受験者のスピーキングの声が若干聞こえてしまう
(2)しゃべり出しのタイミングに気を付ける
(3)スピーキングの終了タイミングに気を付ける - 英検準2級の勉強法
・単語帳と問題集一冊ずつを併用したオーソドックスな学習でOK!
・無料で手に入る過去問による学習もおすすめ
・アプリを使ってスキマ時間に学習するのが有効
最後まで読んでいただきありがとうございます。
英語学習に終わりはありませんが、努力を継続することで確実に成長していくのも事実です。本記事が少しでも皆さまのお役に立てたなら幸いです。