ロジカルシンキング(論理的思考)は、ビジネスパーソンにとって重要なスキル(思考法)のひとつです。
日々の仕事において何かテーマが与えられたときや問題が発生した際に、その複雑な内容を筋道を立てて整理し、自分自身や相手に納得感を与えられる結論を効率的に導き出すことが重要です。
これが出来るようになるのが、まさにロジカルシンキングです。
本記事では『ロジカルシンキング』とは何かを解説します。
これまで100講座以上udemy※の講座を受講してきた著者が、ロジカルシンキングに関して改めて学習した内容を元に体系的に整理して解説します。
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【この記事を読んでわかること】
- ロジカルシンキングとは何か
- クリティカルシンキング、ラテラルシンキングとの違い
- 論理の構造(タテの関係とヨコの関係)
- 論理を支えるフレームワーク
- ロジカルシンキングを深める、おすすめudemy講座とおすすめ書籍
著者は、20年以上エンジニアとして現場でロジカルシンキングを実践しています。
ロジカルシンキングに関して、udemyの講座だけでなく数々の書籍を読みつつ今もなお日々学習して活用しています。
本記事が、ロジカルシンキングに関して皆さまの理解の一助になればと思いますので是非ご参考下さい。
■ロジカルシンキングとは(論理的思考とは)
『ロジカルシンキング』とは、
何かテーマが与えられたときに、そのテーマの内容を構造的に分解し、筋道を立てて整理し、相手の知識レベルに合わせた納得感を与えられる結論を導き出す技術のことを言います。
また、結論を導き出すだけでなく、結論を導き出す過程における作業を効率的に進められることもセットとして考えられています。
例えば、いくら論理的な結論を導き出せたとしても、結論を導き出す過程に時間がかかりすぎている方は、『ロジカルな人』とは言い難いということです。
また、逆に何かテーマに関する結論が与えられたときに、
そのテーマの結論とそこで示された根拠が、筋道が通るように整理され、かつ相手に納得感を得られるものかどうか検証し、適切にまたは本質を突いた指摘をする技術もロジカルシンキングに含まれます。
その検証作業も当然に効率的に進められる必要があります。
ロジカルシンキングの最終成果物としては、与えられたテーマについてピラミッドストラクチャーを作り出すことになります。
ピラミッドストラクチャーについては後述します。
【ロジカルシンキングとは】
- テーマの内容を構造的に分解し、筋道を立てて整理し、相手の知識レベルに合わせた納得感を与えられる結論を効率的に導き出す技術のこと。
- 与えられたテーマについてピラミッドストラクチャーを作り出すことが、ロジカルシンキングの最終成果物となる。
■クリティカルシンキング・ラテラルシンキング・ロジカルシンキングの違い(ロジカルシンキングの位置付け)
ロジカルシンキングによく似た思考法に『クリティカルシンキング』と『ラテラルシンキング』があります。
これらの思考法とロジカルシンキングの位置付けについても理解しておきましょう。

クリティカルシンキング(問う力)
クリティカルシンキングとは、あるテーマに対して『問う力』を指します。
『そもそも何を考えるべきか?』を明確にする役割があります。
ラテラルシンキング(広げる力)
ラテラルシンキングとは、あるテーマに対して『広げる力』を指します。
『新しいアイデア』や『別の視点』を創出する役割があります。
ロジカルシンキング(深める力)
ロジカルシンキングとは、あるテーマに対して『深める力』を指します。
『問い』や『ひらめき』を実行可能な計画に変える役割があります。

■論理の構造(ロジカルとは)
論理的(ロジカル)であるには、3つの条件があります。
【論理的(ロジカル)であるための3つの条件】
- 『問い』(テーマ)に対して、『答え』があること。
- 『答え』に対して、『理由』があること。
- 『理由』は、複数の側面から広くあること。
ピラミッドストラクチャー(ロジカルシンキングにおける最終成果物)
『ピラミッドストラクチャー』は、論理構造を明確にする型(フォーマット)であり、この型に当てはめることにより、『問い』、『答え』、『理由』の関係性を明確化することができます。
言い換えれば、テーマの内容をピラミッドストラクチャーに落とし込むことにより、論理的な構造を持った結論が導くことができる(ロジカルシンキングにおける最終成果物)ということになります。

論理のタテの関係
論理の構造にはタテの関係とヨコの関係があります。
『タテの関係』とは、『答え』と『理由』の関係性のことを指します。
タテの関係を成立させるには、『答え』に対して『理由』が、具体的かつ繋がりがあることが重要です。抽象的であったり、論理に飛躍があると相手に納得感を与えられません。

論理のヨコの関係
ヨコの関係とは、『理由』がひとつの視点からでなく、多角的に並列に(広く)用意されている関係のことを指します。理由を広く用意することで説得力が増します。

■フレームワークを活用して関係性をつくる
論理を支えるタテの関係とヨコの関係をつくるにはコツがあります。
このコツを押さえることで相手に納得感を与えられる論理の構造を半自動的に構築することが出来ます。
そのコツとは決まった『型』に当てはめることですが、この『型』のことを『フレームワーク』と言います。
それでは具体的にどのようなフレームワークがあるのか見ていきましょう。
■タテの関係の構築に使えるフレームワーク
タテの関係の構築に使えるフレームワークを3つご紹介します。
因果関係(原因と結果)
『因果関係』とは原因と結果の関係であり、「ある事柄(原因)が、別の事柄(結果)を直接的に引き起こす関係」のことです。
『相関関係』との違いに注意が必要です。
相関関係とは、2つの事象が同時に変化する傾向がある関係であり、相関関係があるからといって、因果関係があるとは限りません。

演繹法
演繹法とは①事実と、②一般論を組み合わせて、③主張をつくる、思考法です。
三段論法が代表的な形式で、論理の筋道を明確にするのに役立ちます。

帰納法
帰納法とはいくつかの事実の共通点を見つけて、一般論とする思考法です。

■ヨコの関係の構築に使えるフレームワーク
ヨコの関係の構築に使えるフレームワークは豊富にありますが、その中でも、まずヨコの関係を構築するための基本的な考え方であるMECE(ミーシー)について理解しておく必要があります。
MECE(ミーシー):モレなくダブりなく
「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、抜け漏れがなく、重ならないように分解することです。
『理由』を広く用意する(ヨコの関係を構築する)上での基本的な概念になります。
MECE(ミーシー)は、「モレなく、ダブりなく」で言い換えられ、もはやビジネス用語化しています。

一般的なフレームワーク
ヨコの関係を構築する上ではMECEが必要条件になりますが、フレームワークに当てはめることで自動的にMECEになります。うまく活用することで効率良く論理を組み立てられます。
ここでは一般的なフレームワークをビジネスで使いやすいものに絞ってご紹介します。
反対軸
メリットとデメリット、強みと弱み、外部と内部等、相反する視点で分解します。
量と質などセットの概念も含みます。
時間軸
午前や午後、1時間単位、曜日単位等、時間軸で分解します。
5W1H
Who(誰が)、When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように) で分解します。
数字を分解
数字は分解することが出来ます。例えば、売上は販売数×単価ですし、費用は、売上原価+販売管理費(人件費等)です。
マトリクス
重要度・緊急度マトリクスで分解します。

ビジネス戦略的なフレームワーク(ビジネスフレーム)
上述の一般的な概念のフレームワークとは異なり、ビジネスに関連深いフレームワークをご紹介します。
マーケット・プロジェクト戦略のフレームワーク
マーケットやプロジェクト戦略のフレームワークで分解します。
バリューチェーン
モノやサービスは、『企画』→『開発』→『製造』→『販売』 等、プロセスを経るに従い価値(バリュー)が上がっていきます。そのバリューが上がるプロセスの繋がり(チェーン)をバリューチェーンと言います。
プロセス
開発工程(要件定義、設計、製造、試験、保守)や、PDCA(Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善))で分解します。
ポジションマッピング
2軸で自社や競合他社、またはプロダクトのポジションをマッピングすることで分解します。

■タテ・ヨコの両方の関係の構築に使えるフレームワーク
タテ・ヨコの両方の関係の構築に使えるフレームワークをご紹介します。
これらのフレームワークを使うことで、与えられたテーマをタテ・ヨコ両方を構造的に整理することができます。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、与えられたテーマを「木の枝」のように階層的に分解し、論理的に整理するための強力なツールです。
ロジックツリーは、Whatツリー、Whyツリー、Howツリーの3種類あり、深堀りたい目的に応じて使い分けます。
①Whatツリー(なに?)
Whatツリーは、構成要素を網羅的に分解したいときに使用します。

構成要素を網羅的に分解した上で、解決思考で問題を特定していきます。

②Whyツリー(なぜ?)
Whyツリーは、問題の原因を掘り下げるときに使用します。

問題の原因を掘り下げた上で、解決思考で課題を特定してきます。
洗い出された課題の候補から重要成功要因(KSF:Key Success Factor)を課題として設定します。

③Howツリー(どうやって?)
Howツリー(どうやって?)で候補を挙げます。

Howツリーは、課題の解決策を考えるときに使用します。
Howツリーを使って解決策の案を出し、候補として選定します。その上で、意思決定マトリクスを使って評価して絞り込みます。


ロジックツリーの作り方(トップダウンアプローチとボトムアップアプローチ)
ロジックツリーを作る上では、基本的には「木の枝」の上から順に考えていきますが(トップダウンアプローチ)が、与えられたテーマに対して知識が浅く要素に分解し難い場合には、ボトムアップアプローチで考える(木の枝の下から考える)のも有効です。

トップダウンアプローチ
MECEの切り口や上述のフレームワークを使って上から(上図では左から)順に分解していきます。
ボトムアップアプローチ
ブレインストーミング等を使って要素を出し、グルーピングして整理していきます。
木の枝の下から(上図では右から)アプローチしていく手法です。
ボトムアップアプローチは、確実にMECEと言い切れるかどうかは疑問が残りますが、考え尽くしているので一旦それでOKということになります。
■ロジカルシンキングを鍛えるおすすめ講座(udemy)
本記事は、udemyの講座の内容の多くの部分を引用しています。ロジカルシンキングを学べる数あるudemyの講座から重要な部分を整理して体系的にまとめています。
ここで引用しているudemy講座はどれも実践的なロジカルシンキングを学ぶことができます。
以下にご紹介しますので、学習の役に立ててもらえれば幸いです。
著者は本記事でご紹介する全ての講座を受講しています。




またudemyの講座の中にはロジカルシンキングを学習できるだけでなく、ワークやトレーニングが設定されているものもあり論理的思考力を効果的に鍛えることが出来る講座もあります。
以下の記事でご紹介していますので、是非ご参考下さい。
■ロジカルシンキング おすすめ本
ロジカルシンキングに関するおすすめ本をご紹介します。
ロジカルシンキングを基本から学習できる、王道の書籍になります。手元に置いて是非ご活用下さい。

『ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル』は、複雑な情報を整理し、説得力ある構成を作るための実践的な指南書です。
論理的思考の基本から応用までを体系的に解説されています。
まさに王道の一冊と言ってよいでしょう。
著者も論理思考のバイブルとして使っている一冊です。

『マンガでわかる!マッキンゼー式ロジカルシンキング』は、難解に思われがちなロジカルシンキングをマンガで楽しく学べる入門書です。
マッキンゼー流の問題解決法がストーリー仕立てで解説されています。
キャラクターのやり取りを通じて、論理的思考のプロセスが自然に理解できる構成になっています。
ビジネス初心者や学生にも親しみやすく、実践的なスキルを気軽に身につけられる一冊です。

『シン・ロジカルシンキング』は、従来の論理的思考法をアップデートし、現代の複雑な課題に対応する新しい思考の型を提示します。
望月安迪氏が提唱するのは、単なる「筋道立て」ではなく、柔軟性と創造性を兼ね備えた論理の使い方。問題解決や企画立案の場面で、より納得感のある結論へ導くための実践的アプローチが紹介されています。
従来の枠を超えた思考法を求める人におすすめです。

『頭がいい人の思考術 日本一やさしいロジカルシンキング』は、論理的思考を「やさしく」「わかりやすく」解説した入門書です。
本記事でご紹介しているudemy講座の講師でもある、『伊庭正康』氏が、日常の疑問やビジネス課題を例に挙げながら、誰でもすぐに使える思考のコツを紹介。
難しい専門用語を避け、シンプルなステップで論理的に考える力を養える内容になっています。
論理的思考を初めて学ぶ人や、基礎をしっかり固めたい人にぴったりの一冊です。
udemyの講座とあわせて学習するのもおすすめです。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。
最後にロジカルシンキング(論理的思考)のポイントについてまとめておきます。
- ロジカルシンキングとは、何かテーマが与えられたときに、そのテーマの内容を構造的に分解し、筋道を立てて整理し、相手の知識レベルに合わせた納得感を与えられる結論を導き出す技術のこと
- ロジカルシンキングには、『問い』や『ひらめき』を実行可能な計画に変える役割があります。
- 論理的(ロジカル)であるとは、『問い』に対して『答え』があり、『答え』に対して『理由』があることが必要です。
- 論理を組み立てるには、フレームワークを活用して関係性をつくるのが有効です(MECE、ロジックツリー、数ある戦略的フレームワーク等)。
- ロジックツリーの作り方には、トップダウンアプローチとボトムアップアプローチがあります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ロジカルシンキングはビジネスパーソンにとって重要なスキル(思考法)のひとつです。
皆さまがロジカルシンキングの思考を身に着け、日々の業務だけでなく人生そのものが少しでも理想的な方向に近づくことを祈っております。
■【補足】Udemy修了証明書(受講履歴)
著者は、本記事でご紹介する全ての講座を受講しています(修了証明書貼付)。
Udemyは受講し終えた講座については修了証明書をもらえるので、これもまた生涯学習のモチベーションになります。






