プロジェクトマネジメントに携わる方のなかで近年注目度が高まってきているのがPMP(Project Management Professional)資格です。
本記事ではPMPの概要、資格取得のメリット、難易度・合格率、勉強方法、勉強時間、試験準備から合否発表までの流れを著者の実体験を交えて解説します。
プロジェクトマネジメントに興味のある方や資格取得を考えている方は、ぜひご参考下さい。
【この記事を読んでわかること】
- PMPの概要、受験資格を得るための要件
- PMP試験の難易度・合格率
- 受験申請 ~ 試験までの流れ
- 必要な勉強時間、勉強方法
■PMPの概要
PMPとは
Project Management Professional の略で、アメリカのPMI(Project Management Institute)が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。
PMP試験は、受験者のプロジェクトマネジメントに関する経験、教育、知識を測り、プロフェッショナルとしての確認を目的として実施されます。
グローバルに認められ求められているPMP資格は、プロジェクト・マネージャーがプロジェクトを成功させるためのプロジェクトマネジメントの知識、経験、スキルを有することを、クライアントや雇用主、同僚に対して証明します。
役立つ資格 第1位
PMPは、2023年日経転職版 役立つ資格総合ランキングでMBA、TOEICを押さえ堂々の第一位となっています。
著者の肌感覚としてですが、PMP取得に向けた勉強で得た知識は実際の仕事に非常に役立ちます。
PMPの試験勉強中に仕事における類似状況が思い浮かばれ、あのときこうすればよかったのか!など業務改善のための切り口、アプローチ方法が増えるイメージです。
PMP試験の難易度・合格率
試験の合格率は公表されていないため不明です。
インターネットの情報によると70%以下と言われていたりします。またPMI本部のディスカッションカテゴリでも議論されていて、推測に過ぎないようですが”60% of people pass“という言葉も出てきます。
(出展:PMI What is the actual pass rate for PMP)
試験の合格率は一般的な資格試験と比較して高いように感じますが、後述のとおり受験者は受験資格を得るために既に選抜されていることも要因として挙げられます。
■受験資格
PMPを受験するためには、一定のプロジェクトマネジメント経験と研修が必要になります。また申請時にそれらを英語で記述する必要があります。
- プロジェクトマネジメント経験
- 4年生大学卒業者で最低3年(36か月)の固有で重複していないプロフェッショナル・プロジェクトマネジメント経験が必要。うち少なくとも4,500時間をプロジェクトを指揮、監督する立場での実務経験が必要
- プロジェクトマネジメントの公式研修
- 35時間の公式な研修の受講が必要
■受験申請 ~ 試験
受験申請から受験するまでの流れを、著者の受験経験からのポイントを交えて解説します。
会社への申請と確認
サラリーマンの方は、所属する会社で受験費用や合格手当などが発生するケースも多いかと思いますが、以下のポイントを事前に確認しておくと、費用の無駄が抑えられ、また申請がスムーズでよいです。
総務部や業務部など資格担当部門に諸経費、手当等の申請、精算方法を確認しておく。あらかじめPMI会員になっておくかどうかを確認しておく。
PMIアカウントを登録する
PMIアカウントの作成(My PMI 右上「Register」)を行います。
後述の「PMI会員」ではなく、「PMIアカウント」ですのでご注意ください。
英語のサイトです。日本語も選択することができますがアカウント登録ページは英語です。
必要事項を記入していきます。
登録するメールアドレスについては、所属する会社のメールアドレスではなく、個人のメールアドレスを推奨します。なぜならばアカウントは個人のものであり、また資格は個人に帰属するもので、万が一会社を辞めた場合にメールアドレスの変更などの手間を省けます。
PMP試験の受験申請
My PMIにログインしてPMP試験の受験申請をします。
申請にはプロジェクトマネジメント実務経験と受講したプロジェクトマネジメント教育についてを英語で記載する必要があります。またPMI側が申請内容をレビューする期間として5営業日程度かかります。
さらにランダムで監査があり、監査に選定されると証明書類の提出が必要になります。
著者は運良く監査に選定されませんでした。
プロジェクトマネジメント実務経験とプロジェクトマネジメント教育については以下の記事に整理してますのでご参考下さい。
受験料はPMI会員になると優遇があります。
著者は、念のためPMI会員になって受験した方が良いか所属会社の総務部に確認したところ、会社からは受験料のみ補助するとの回答だったため非会員のまま受験しましたが、PMI会員になって受験し、合格後、次回のPMI会員の更新をしないというやり方が最も費用を抑えられます。
初回受験料 | 再受験料 | 更新料(3年毎) | |
---|---|---|---|
PMI会員 | 405ドル | 275ドル | 60ドル |
非会員 | 555ドル | 375ドル | 150ドル |
初年度会費 | 更新(1年毎) | |
---|---|---|
PMI会員 | 139ドル | 129ドル |
PMI日本支部 | 50ドル | 50ドル |
試験日・試験会場の予約
My PMIにログインして、PMP試験の試験日・試験会場の予約を取ります。
試験日の30日前からキャンセル料が発生するので、試験の準備をしっかりと行った後に申し込むようにしましょう。
試験
試験は一般的なパソコン、キーボード、マウスを使用したCBT方式となります。なお、最近は自宅で受験する方式もあるようです。
試験方法 | CBT方式 | 操作は一般的なパソコンを使うことができれば全く問題はない |
試験時間 | 3時間50分 (2020年時点:4時間) | 時計、電卓はパソコンにインストールされているものを使用可能 |
問題数 | 180問 (2020年時点:200問) | 60問解答したところで10分間の休憩が取れる (2020年時点:90問解答したところで10分間の休憩が取れる) |
CBT方式のテストのデモ体験ができます。
(ピアソン VUE CBT試験のデモにようこそ (pearsonvue.com))
著者の所感としては、最初の90問は長文で選択肢も曖昧な問いが多く、ほとんどの問いに対して自身の答えが正しいかどうか確信が持てないものが多かったように感じました。
休憩後、後半戦はなぜか問題が易しくなり、問題文も短いものが多くなり、さくさく答えることができた印象でした。
最後まで解き終わったときには、残り時間3分で、計算問題を2問程度見直すに留まりました。あまり時間に余裕はない印象です。
- 四択のマークし忘れに注意!(マウスをクリックしたつもりで押されていなかったなど)
- 全て解き終わったら未回答の問題を一覧で確認できるので、必ず確認しましょう。
合格発表
試験結果はその場で画面に表示されます※。またMyPMIにログインすると詳細な結果を確認することができます。
※即時結果表示は、2023年以降なくなるかもしれません
■受験記録
スケジュール
参考までに以下に著者の受験記録です。
- 受験日 :2020/12/17 (合格)
- 受験回数:1回
- 受験会場:新宿
- 受験方式:CBT
2020年 | ||
12/4(金)夜 | 受験申請 | |
~ | 申請内容レビュー(PMI) | |
12/12(土)昼 | レビュー通過 | アメリカの営業日で5日程度のレビュー期間になると推測 |
12/12(土) | 試験日・試験会場を予約(12/17・新宿) | 当月、翌月はかなり埋まっていた(各月2日間程度しか空きがなかった) |
12/17(木)8:00~12:00 | 試験(7:30会場入り) | |
合格 |
必要な勉強時間
著者は、1年半かけて独学で勉強し合計勉強時間は120時間弱でした(月平均6時間半程度)。
インターネットによると100時間程度と分析しているサイトが多いです。著者の実績としては少し多めですが、概ね一致しています。
勉強方法
著者は以下の問題集(2冊)を使いました。
特にPMPパーフェクトマスターは非常にわかりやすく、PMP合格後も何かと仕事の参考にしている良書です。
また、udemyではPMP試験模擬問題集等も安価で提供されていますのでおすすめです。
【udemy】PMP (Project Management Professional) 試験模擬問題集 全360問(2回分)
■まとめ
PMPは著者が取得してきた資格の中で仕事上最も役に立つ資格のひとつです。
以下、ポイントをまとめておきます。
- PMP資格はプロジェクトマネジメント力(知識、経験、スキル)を社内外に証明できる国際資格
- 受験資格を得るために一定のプロジェクトマネジメント経験と公式研修が必要
- 受験申請は英語で記述する必要がある
- 勉強時間は独学で100~120時間程度が目安
- 仕事における課題解決のための切り口、アプローチ方法が増える
最後まで読んでいただきありがとうございます。少しでも皆さまのお役に立てたなら幸いです。